「老後のことなんて、まだ考えたこともないな…」 「退職金と年金があれば、なんとかなるでしょ?」
毎日、目の前の患者さんのために一生懸命働いているあなた。 将来のこと、特に**「老後のお金」**について、じっくりと考える機会は、なかなかないかもしれませんね。
しかし、**「人生100年時代」**と言われる現代。 私たち理学療法士も、いつかは現役を引退し、セカンドライフを迎える日がやってきます。 その時、経済的に安心して、心豊かに暮らしていくためには、早いうちから「老後資金」について考え、準備を始めておくことが、実は非常に大切なのです。
「理学療法士の仕事って、体力的にいつまで続けられるんだろう…」 「退職金や年金って、実際どのくらいもらえるものなの?」 「老後に2000万円必要って聞くけど、そんな大金、どうやって準備すればいいの…?」
この記事では、そんなあなたの疑問や不安に応えるために、
- 理学療法士の退職金制度のリアル
- 知っておくべき年金制度の基礎知識
- そして、安心して老後を迎えるための具体的な資金準備プラン について、分かりやすく解説していきます。
「まだ先のことだから」と目を背けずに、「知らないと怖い」老後のお金の話に、今こそ向き合ってみませんか? 正しい知識を身につけ、計画的に準備を進めることで、あなたの未来はもっと明るく、安心できるものになるはずです。
「老後のことなんて、まだ先…」本当に大丈夫?理学療法士の将来とお金の話
「老後資金」と聞いても、まだ20代、30代のうちは、なかなか実感が湧かないかもしれませんね。でも、時間はあっという間に過ぎていきます。なぜ、私たち理学療法士も、早いうちから老後のお金について考える必要があるのでしょうか? その背景にある、見過ごせない現実から見ていきましょう。
理学療法士の仕事、いつまで続けられる?体力的な限界とキャリアプラン
理学療法士の仕事は、患者さんの移乗介助や、中腰での治療など、身体的な負担が少なくありません。 若い頃は体力でカバーできても、年齢を重ねるにつれて、「この働き方を、あと何十年も続けられるだろうか…」と、体力的な限界を感じる時が来るかもしれません。
また、定年まで同じ職場で働き続けるというキャリアパスだけでなく、途中で働き方を変えたり、新しい分野に挑戦したりと、キャリアプランも多様化しています。 いつ、どのような形で現役を引退するのか、あるいはセカンドキャリアを考えるのか。 その時期によって、必要な老後資金も変わってきます。
「自分は、いつまで、どんな風に働きたいのか?」 そのキャリアプランと、老後の生活設計は、密接に結びついているのです。
人生100年時代!「老後2000万円問題」はPTにとっても他人事じゃない
数年前に話題となった**「老後2000万円問題」**。 これは、高齢夫婦無職世帯が、公的年金だけでは毎月の生活費が不足し、退職後30年間で約2000万円の取り崩しが必要になる、という金融庁の試算がきっかけでした。
この数字はあくまで一例であり、個人のライフスタイルや健康状態によって必要な金額は大きく異なります。 しかし、**「公的年金だけでは、ゆとりある老後生活を送るのが難しい可能性がある」**という事実は、私たち理学療法士にとっても、決して他人事ではありません。
長生きすることは素晴らしいことですが、その分、より多くの生活資金が必要になるという現実を、しっかりと認識しておく必要があります。
「退職金と年金があれば安心」は幻想?知っておくべき厳しい現実
「大丈夫、うちは退職金も出るし、年金もあるから」 そう楽観的に考えている方もいるかもしれません。
しかし、
- 退職金制度がない、あるいはあっても十分な額ではない職場も存在する。(特にクリニックや小規模施設など)
- 公的年金の支給開始年齢が、将来的に引き上げられる可能性もゼロではない。
- 年金の支給額自体が、物価上昇に追いつかず、実質的に目減りしていく可能性もある。
といった、厳しい現実も知っておく必要があります。 「退職金と年金があれば安心」という考えは、もはや**「幻想」に近いのかもしれません。 これらに過度に期待するのではなく、「自助努力」**による資金準備が、ますます重要になっているのです。
今から始める「お金の準備」!安心して老後を迎えるために
「まだ若いから大丈夫」 「その時になったら考えればいい」
そんな風に、老後資金の準備を先延ばしにしていませんか? しかし、お金の準備は、早ければ早いほど有利です。 時間を味方につけることで、少額の積み立てでも、複利の効果で大きく育てることができますし、万が一の事態にも対応しやすくなります。
この記事を読んだ「今」が、あなたの老後資金準備をスタートする絶好のタイミングです。 安心して、そして心豊かにセカンドライフを迎えるために、今日からできることを始めていきましょう。
PTの退職金、いくらもらえる?種類と相場、確認すべきポイント
「うちの職場、退職金って本当に出るのかな?」「出るとしたらいくらくらい?」 老後の生活を支える大きな柱の一つとして期待される退職金。しかし、その制度や金額は、勤務先によって大きく異なります。まずは、理学療法士の退職金に関する基本的な知識と、確認すべきポイントを押さえておきましょう。
退職金制度の種類(退職一時金、企業年金、確定拠出年金(DC)など)
企業が従業員に対して支給する退職金には、いくつかの種類があります。
- 退職一時金制度:
- 退職時に、まとまった金額が一括で支払われる、最も一般的な制度。
- 算定方法は、勤続年数や退職時の基本給、役職、あるいは貢献度などに基づいて、会社独自の規定で定められます。
- 企業年金制度:
- 退職後、一定期間または終身にわたって、年金形式で給付金が支払われる制度。
- 代表的なものに**「確定給付企業年金(DB)」**があります。将来受け取れる年金額があらかじめ約束されているのが特徴です(ただし、企業の財政状況によっては減額のリスクも)。
- 確定拠出年金(DC)制度:
- 企業が掛金を拠出し、従業員自身がその掛金を運用し、その運用結果によって将来受け取れる額が変わる制度。**「企業型DC」と、個人で加入する「iDeCo(個人型確定拠出年金)」**があります。
- 運用次第で大きく増える可能性もあれば、元本割れのリスクもあります。
- 中小企業退職金共済(中退共)制度:
- 中小企業が、従業員の退職金準備のために加入する国の制度。企業が掛金を拠出し、退職時に従業員に直接支払われます。
あなたの勤務先が、どの種類の退職金制度を導入しているか、あるいは複数の制度を組み合わせているかを確認することが大切です。
理学療法士の退職金の相場は?勤務先(病院、施設、クリニック)による違い
理学療法士の退職金の相場は、一概に「いくら」と言うのは非常に難しいのが現状です。 なぜなら、前述の通り、退職金制度の有無や種類、算定方法が、勤務先によって大きく異なるからです。
一般的に言える傾向としては、
- 国公立病院・施設: 公務員に準じた退職手当制度があり、比較的安定しており、勤続年数に応じてある程度の額が期待できる場合が多い。
- 大規模な私立病院・医療法人・社会福祉法人: 独自の退職金規程があり、経営状況や勤続年数、役職などによって金額は大きく変動する。充実した制度を持つところもあれば、そうでないところも。
- クリニック・小規模な介護施設・訪問リハビリステーション: 退職金制度そのものがない、あるいはあっても少額であるケースが比較的多い。その代わりに、月々の給与が高めに設定されていたり、他の手当が充実していたりする場合もある。
「理学療法士だから、これくらいはもらえるはず」という思い込みは禁物です。 必ず、ご自身の勤務先の状況を確認する必要があります。
うちの職場はある?就業規則(退職金規程)の確認方法と注意点
では、自分の職場の退職金制度について、どうやって確認すれば良いのでしょうか? 最も確実な方法は、**「就業規則」や、別冊として定められている「退職金規程」**を確認することです。
- 就業規則の入手方法:
- 通常、従業員がいつでも閲覧できる場所に保管されているはずです(例:スタッフルーム、事務所など)。
- 見当たらない場合は、人事部や総務部、あるいは上司に問い合わせてみましょう。
- 入社時にコピーを渡されている場合もあります。
- 確認すべきポイント:
- 退職金制度の有無
- 退職金の支給対象となる条件(例:勤続〇年以上など)
- 退職金の算定方法(基本給連動?ポイント制?など、具体的な計算式)
- 自己都合退職と会社都合退職での支給率の違い
- 支給時期・支給方法
- 企業年金や確定拠出年金制度がある場合は、その詳細
もし、就業規則を読んでも内容がよく分からない場合は、遠慮せずに人事担当者などに質問しましょう。 「退職金は、出ますか?」と直接聞くのは、少し勇気がいるかもしれませんが、あなたの正当な権利に関わる重要な情報です。

退職金にかかる税金も知っておこう(退職所得控除)
受け取った退職金には、所得税と住民税がかかります。 しかし、退職金は長年の功労に報いる一時的な所得であるため、税負担が軽減されるように「退職所得控除」という特別な控除制度が設けられています。
退職所得控除額は、勤続年数によって異なり、
- 勤続20年以下の場合: 40万円 × 勤続年数 (80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続20年超の場合: 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年) で計算されます。
(退職金の額 - 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得の金額 この「退職所得の金額」に対して、所得税率がかけられます。
通常、会社が税金を計算し、源泉徴収した上で退職金を支払ってくれるため、自分で確定申告をする必要はありません(ただし、退職後に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合などは、確定申告が必要になることも)。 退職金の手取り額が、額面通りではないことは、知っておきましょう。

公的年金だけじゃ足りない?理学療法士が知るべき年金制度の基礎
老後資金のもう一つの大きな柱となるのが「公的年金」です。日本の公的年金制度は、よく「2階建て」「3階建て」と表現されます。その基本的な仕組みと、理学療法士として私たちが受け取れる年金額の目安について理解しておきましょう。
【国民年金】全ての国民が加入!基礎年金の仕組みと受給額
日本の公的年金制度の1階部分にあたるのが、「国民年金(基礎年金)」です。 日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入を義務付けられている制度です。 自営業者や学生、無職の方だけでなく、会社員や公務員(第2号被保険者)も、厚生年金と同時に国民年金にも加入しています。
- 保険料: 毎月定額の保険料を納めます。(令和6年度は月額16,980円)
- 受給開始年齢: 原則として65歳から。
- 受給額(令和6年度の満額):
- 老齢基礎年金(月額):約68,000円(新規裁定者)
- 40年間(480ヶ月)保険料を全額納付した場合の満額です。未納期間や免除期間があると、その分減額されます。
国民年金だけでは、老後の生活費を全て賄うのは難しいことが分かりますね。
【厚生年金】会社員・公務員が加入!報酬比例の年金の仕組み
公的年金の2階部分にあたるのが、**「厚生年金保険」**です。 **会社員や公務員(第2号被保険者)**が加入する制度で、国民年金に上乗せして支給されます。 私たち理学療法士の多くも、病院や施設などに勤務していれば、この厚生年金に加入しているはずです。
- 保険料: 毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に、一定の保険料率を掛けて計算され、会社と従業員が半分ずつ負担します(労使折半)。
- 受給開始年齢: 原則として65歳から(生年月日によって、60歳~64歳で「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる場合あり)。
- 受給額: 加入期間の長さと、**その間の平均給与(報酬)によって決まる「報酬比例部分」**が中心となります。つまり、長く働き、給与が高かった人ほど、受け取れる年金額も多くなる仕組みです。
厚生年金に加入している人は、**「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」**の2種類を受け取ることができます。
PTの年金、実際いくらもらえる?ねんきん定期便の見方と将来予測
「じゃあ、私は将来いくら年金をもらえるの?」 その具体的な金額を知るために役立つのが、毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる**「ねんきん定期便」**です。
- 50歳未満の方: これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。(将来の加入期間は考慮されていません)
- 50歳以上の方: 現在の加入条件が60歳まで継続した場合の、将来の年金見込額が記載されています。
ねんきん定期便をよく確認し、
- これまでの加入期間や納付状況に漏れや誤りがないか?
- 将来、おおよそどのくらいの年金が受け取れそうか? を把握しましょう。
日本年金機構のウェブサイト**「ねんきんネット」**に登録すれば、より詳細な年金記録の確認や、将来の年金見込額のシミュレーションも可能です。 まずは、自分の年金情報を「見える化」することが、老後資金計画の第一歩です。
「繰上げ受給」「繰下げ受給」とは?メリット・デメリットを理解する
公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、希望すれば**早めにもらったり(繰上げ受給)、遅らせてもらったり(繰下げ受給)**することができます。
- 繰上げ受給:
- 60歳~64歳の間で、受給開始年齢を1ヶ月単位で早めることができます。
- メリット:早くから年金を受け取れる。
- デメリット:1ヶ月早めるごとに0.4%ずつ年金額が減額され(最大24%減額)、その減額率は**生涯変わりません。**また、障害年金や遺族年金に影響が出る場合もあります。
- 繰下げ受給:
- 66歳~75歳の間で、受給開始年齢を1ヶ月単位で遅らせることができます。
- メリット:1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ年金額が増額され(最大84%増額)、その増額率は生涯変わりません。
- デメリット:年金を受け取らない期間が生じる。長生きしなければ損をする可能性も。
繰上げ・繰下げは、一度選択すると変更できません。 ご自身の健康状態、働き方、貯蓄状況などを考慮し、メリット・デメリットを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
私的年金(iDeCo、個人年金保険など)の活用も視野に!
公的年金だけでは不安…という方は、**「私的年金」と呼ばれる、自分自身で準備する年金制度の活用も検討しましょう。 これがいわゆる年金の「3階部分」**にあたります。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):
- 自分で掛金を拠出し、自分で運用商品を選んで運用し、その成果を60歳以降に年金または一時金として受け取る制度。
- 掛金が全額所得控除される、運用益が非課税になる、受け取る際にも控除があるといった、大きな税制優遇メリットがあります。
- 原則として60歳まで引き出せない点に注意。
- 個人年金保険:
- 生命保険会社などが販売している、民間の年金保険商品。
- 保険料を払い込み、契約時に定めた年齢から年金を受け取る。
- 運用方法は保険会社に任せるタイプが一般的。
- 生命保険料控除の対象となる場合がある。
- 企業型DC(企業型確定拠出年金):
- 勤務先が導入していれば、企業が掛金を拠出し、従業員が運用する制度。iDeCoとの併用も可能な場合があります。
これらの私的年金を、公的年金の上乗せとして活用することで、より豊かな老後生活を目指すことができます。 それぞれの制度の特徴を理解し、自分に合ったものを選びましょう。
今からできる!理学療法士のための「老後資金」準備プラン【5つのステップ】
「老後資金の重要性は分かったけど、具体的に何から始めればいいの?」ご安心ください。難しく考える必要はありません。今日から始められる、理学療法士のための「老後資金」準備プランを、5つのステップでご紹介します。できることから、少しずつ始めていきましょう。
Step1:【現状把握】自分の収入・支出・貯蓄額を「見える化」する
まず、現在のあなたのお金の状況を正確に把握することから始めましょう。 「なんとなく」ではなく、**具体的な数字で「見える化」**することが重要です。
- 収入: 毎月の手取り収入、ボーナス額などを把握する。
- 支出:
- 固定費: 家賃・住宅ローン、水道光熱費、通信費、保険料、サブスクリプションサービスなど、毎月必ずかかる費用。
- 変動費: 食費、日用品費、交際費、趣味・レジャー費など、月によって変動する費用。
- 家計簿アプリなどを活用し、「何に」「いくら」使っているのかを記録・分析してみましょう。
- 貯蓄額: 現在の預貯金額、iDeCoやNISAなどの運用資産額を把握する。
現状を客観的に把握することで、「毎月いくらくらい貯蓄に回せるか」「どこを節約できるか」といった、具体的な計画を立てるための土台ができます。
Step2:【目標設定】老後に必要な資金額を具体的にシミュレーションする
次に、「自分は、老後にどのくらいの生活費が必要で、そのためにいくら準備すれば良いのか」という目標額を設定します。
- 老後の生活費の見積もり:
- 現在の生活費を参考に、老後はどんな生活を送りたいか(旅行に行きたい、趣味を楽しみたいなど)をイメージし、毎月必要な生活費を試算する。
- 総務省の家計調査報告なども参考に。
- 公的年金の受給見込額の確認: 「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、将来受け取れる年金額の目安を確認する。
- 不足額の計算: (老後の総生活費の見込み)-(公的年金の総受給見込額)-(現在の貯蓄額・退職金見込額など)= 老後までに準備すべき資金額
- 目標達成期間の設定: 何歳までに、その金額を準備するか、目標期間を設定する。
この目標額はあくまで目安であり、状況によって変化しますが、具体的な数字を意識することで、準備へのモチベーションが高まります。 必要であれば、**ファイナンシャルプランナー(FP)**などの専門家に相談し、ライフプランシミュレーションをしてもらうのも良いでしょう。
Step3:【節約・貯蓄】毎月の固定費見直しと先取り貯蓄の習慣化
目標額が決まったら、次はそれを達成するための**「貯蓄」**です。 無理なく、そして確実に貯蓄を増やしていくためには、
- 固定費の見直し:
- 住居費: 家賃の安いところに引っ越す、住宅ローンの借り換えを検討する。
- 通信費: 格安SIMへの乗り換え、不要なオプションの解約。
- 保険料: 保険内容を見直し、必要な保障に絞り込む。
- サブスクリプションサービス: 利用頻度の低いものは解約する。
- 固定費は、一度見直せば効果が持続するため、節約効果が大きいです。
- 変動費の節約: 無理のない範囲で、外食を減らす、コンビニ利用を控える、衝動買いをしない、など。
- 「先取り貯蓄」の習慣化:
- 毎月の給料が入ったら、まず貯蓄額を別の口座に移してしまう方法。「残ったら貯蓄」ではなく、「貯蓄した残りで生活する」という意識に変える。
- 財形貯蓄制度や、積立定期預金などを活用する。
- **収入の10%~20%**を目標に、無理のない範囲で始めましょう。
小さなことでも、コツコツと続けることが、将来の大きな安心に繋がります。
Step4:【資産運用】NISA、iDeCoなどを活用した「お金に働いてもらう」選択肢
超低金利時代の現代において、預貯金だけで老後資金を準備するのは、なかなか難しいのが現実です。 そこで重要になるのが、「資産運用」、つまり**「お金にも働いてもらう」**という考え方です。
もちろん、投資にはリスクが伴いますが、長期的な視点で、分散投資を心がければ、リスクを抑えながら、預貯金以上のリターンを期待できます。 特に、国が税制優遇制度を設けている、以下の制度の活用は積極的に検討しましょう。
- NISA(ニーサ):
- 少額投資非課税制度。NISA口座で購入した株式や投資信託などの運用益や配当金が、一定期間非課税になります。
- 2024年から新しいNISA制度が始まり、非課税保有限度額が大幅に拡大され、より使いやすくなりました。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):
- 前述の通り、掛金が全額所得控除されるなど、大きな税制優遇がある私的年金制度。老後資金準備の強力な味方です。
これらの制度を上手に活用し、**「長期・積立・分散」**を基本に、コツコツと資産形成を進めていきましょう。 最初は少額からでも構いません。まずは「始めてみる」ことが大切です。 不安な場合は、信頼できる金融機関やFPに相談しましょう。
Step5:【キャリアプランニング】長く、安定して収入を得られる働き方を考える
老後資金準備において、最も確実で、そして効果的な方法は、**「できるだけ長く、安定して収入を得続けること」**です。 そのためには、将来を見据えたキャリアプランニングが不可欠になります。
- 専門性の向上: 認定・専門理学療法士資格の取得や、特定の分野でのスキルアップを通じて、自身の市場価値を高め、より良い待遇の職場へ転職したり、昇進・昇格を目指したりする。
- 多様な働き方の検討: 体力的な負担が少ない分野(例:教育、研究、企業など)へのキャリアチェンジや、フリーランスとしての独立、あるいは定年後も嘱託などで働き続けるといった選択肢も視野に入れる。
- 健康維持: 何よりも、長く働き続けるための資本となる「健康」を維持するための努力を怠らない。(第48回記事参照)
- 副業による収入源の確保: 本業以外にも収入の柱を持つことで、経済的な安定性を高める。(第14回記事参照)
「自分は、何歳まで、どんな形で働き、どのくらいの収入を得たいのか」 そのビジョンを明確にし、それに向けて今から準備を進めていくことが、結果的に豊かな老後生活へと繋がります。 もし、**「今の職場で、将来的な収入アップやキャリア形成が見込めない…」**と感じるなら、**より将来性のある、安定した収入が得られる職場への「転職」**も、老後資金準備の観点から、非常に重要な戦略の一つと言えるでしょう。転職エージェントに相談し、長期的なキャリアプランについてアドバイスをもらうのも有効です。


専門家(FPなど)への相談も有効な手段
老後資金の準備は、専門的な知識も必要となり、一人で計画を立てるのが難しいと感じるかもしれません。 そんな時は、**お金の専門家である「ファイナンシャルプランナー(FP)」**に相談するのも、非常に有効な手段です。
FPは、あなたの収入、支出、家族構成、ライフプランなどを総合的にヒアリングした上で、
- 具体的な老後資金額のシミュレーション
- 家計の見直しポイントのアドバイス
- iDeCoやNISAといった制度の活用方法
- あなたに合った資産運用のポートフォリオ提案 など、専門的な視点から、あなたの老後資金準備をサポートしてくれます。
初回相談は無料の場合も多いので、気軽に相談してみましょう。
老後の安心は「今」の準備から!正しい知識で、豊かなセカンドライフを設計しよう
理学療法士の老後資金。 「まだ先のこと」と油断していると、気づいた時には手遅れ…なんてことにもなりかねません。 人生100年時代を安心して、そして心豊かに生きていくためには、「今」から計画的に準備を始めることが、何よりも大切です。
この記事でご紹介した、
- 退職金・年金制度の正しい知識を身につけること
- 自分の現状を把握し、具体的な目標額を設定すること
- 節約・貯蓄、そして資産運用をバランス良く行うこと
- 長く、安定して収入を得るためのキャリアプランを考えること を、ぜひ今日から実践してみてください。
そして、もし**「今の職場の待遇では、将来が不安…」「もっと退職金や年金制度が充実している、安定した職場で働きたい」**と感じるなら、転職エージェントに相談し、より良い条件の職場を探してみるのも、あなたの未来を明るくするための賢明な選択です。
老後の安心は、誰かが与えてくれるものではありません。 あなた自身が、正しい知識と、計画的な行動によって、築き上げていくものです。 豊かなセカンドライフを、あなた自身の手でデザインしていきましょう!