「今日のカンファレンス、結局何が決まったんだっけ…?」 「多職種で話し合っても、なかなか意見がまとまらなくて、時間ばかり過ぎていく…」 「もっとみんなが積極的に発言できるような、活気のあるチームにしたいんだけど…」
理学療法士として、日々の業務の中で**「チーム医療」**の重要性を痛感しているあなた。 医師、看護師、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー…多くの専門職と連携し、患者さんにとって最善のケアを提供するためには、チームとしての機能を最大限に高めることが不可欠ですよね。
しかし、現実はどうでしょうか? 立場や専門性が異なるメンバーが集まるチームでは、
- 意見が衝突して議論が進まない
- 一部の人しか発言せず、他の人は受け身になっている
- 会議の目的が曖昧で、結論が出ないまま終わってしまう
- 情報共有がうまくいかず、連携ミスが起こる といった課題に、日々直面しているのではないでしょうか。
そんな**「チームの停滞感」を打破し、メンバー全員の力を引き出し、より質の高い成果を生み出すために、今、理学療法士にも求められているのが「ファシリテーション能力」**です。
「ファシリテーションって、司会進行のことじゃないの?」 「自分には、そんなリーダーシップなんてないし…」
そう思うかもしれません。しかし、ファシリテーションは、単なる会議の進行役以上の、チームを活性化させ、創造的な問題解決を促すための、非常に奥深く、そして強力な技術なのです。
この記事では、理学療法士のあなたが、**チーム医療の「要」となり、メンバーの力を最大限に引き出すための「ファシリテーション能力」**について、その基本スキルから具体的な実践テクニック、そして能力を高めるための学習方法まで、分かりやすく解説していきます。
ファシリテーションを学ぶことは、あなたのチームへの貢献度を高めるだけでなく、あなた自身のコミュニケーション能力や問題解決能力を飛躍的に向上させることにも繋がるはずです。 さあ、チームを動かす魔法のスキルを、一緒に身につけましょう!
「会議がまとまらない…」「多職種連携がギクシャク…」PTが感じるチームの課題
「今日の多職種カンファレンス、また時間だけが過ぎて何も決まらなかったな…」「リハビリ科のチームミーティング、もっと建設的な話し合いがしたいのに…」そんな風に、日々のチーム活動の中で、課題や無力感を感じていませんか?まずは、なぜ私たち理学療法士がファシリテーション能力を学ぶべきなのか、その背景にあるチーム医療の現状と、ファシリテーションの可能性について考えてみましょう。
なぜPTにファシリテーション能力が必要?チーム医療におけるPTの役割
私たち理学療法士は、患者さんの身体機能や日常生活動作を評価し、目標を設定し、リハビリテーションプログラムを立案・実行するという、治療プロセス全体をデザインし、マネジメントする役割を担っています。 そして、その目標達成のためには、医師、看護師、OT、ST、ケアマネジャー、ご家族など、非常に多くの関係者との連携が不可欠です。
つまり、理学療法士は、患者さんを中心としたチームの中で、情報を集約し、目標を共有し、各専門職の力を引き出し、効果的な連携を促進するという、**「調整役」「ハブ役」**としての役割を、自然と期待されているのです。 この役割を効果的に果たすために、ファシリテーション能力は非常に強力な武器となります。

発言しにくい雰囲気、意見の衝突…チームの力を最大限に引き出せていない現状
しかし、現実のチーム医療の現場では、様々な要因から、チームの力が十分に発揮されていないケースも少なくありません。
- 発言しにくい雰囲気: 上司やベテランの意見が強く、若手や経験の浅いスタッフが意見を言い出しにくい。沈黙が支配する会議。
- 意見の衝突・対立: 専門性や価値観の違いから、意見がぶつかり合い、感情的な対立に発展してしまう。
- 目的の不明確さ: 何のために集まっているのか、何を決めたいのかが曖昧なまま、議論が迷走する。
- 参加者の当事者意識の欠如: 一部の人だけが話し、他の人は「他人事」のように聞いているだけ。
- 時間切れ・結論が出ない: 限られた時間の中で、効果的な議論ができず、結局何も決まらないまま終わってしまう。
こうした状況では、チームの持つ潜在的な能力が十分に引き出されず、患者さんにとっても、働くスタッフにとっても、不幸な結果を招きかねません。

ファシリテーションとは?「進行役」以上の、チームを活性化させる技術
「ファシリテーション(Facilitation)」という言葉は、「容易にする」「促進する」といった意味を持ちます。 チームにおけるファシリテーションとは、単に会議の司会進行をすることだけを指すのではありません。
チームのメンバーが持つ知識・経験・意見を最大限に引き出し、それらを効果的に組み合わせ、相互作用を促進することで、チームとしての成果(問題解決、合意形成、新たなアイデア創出など)を最大限に高めるための働きかけ、支援技術 のことです。
ファシリテーターは、
- 中立的な立場で、議論のプロセスをデザインし、舵取りをする。
- メンバーが安心して発言できる場を作り出す。
- 多様な意見を引き出し、見える化し、整理する。
- 建設的な対話を促し、合意形成をサポートする。
- チームのエネルギーを高め、創造性を刺激する。
といった役割を担います。決して、自分の意見を押し付けたり、結論を誘導したりするのではなく、あくまで**チームの力を引き出す「触媒」**のような存在なのです。
あなたもチームの起爆剤に!PTが学ぶべきファシリテーションの可能性
理学療法士がファシリテーション能力を身につけることで、
- 多職種カンファレンスが、より建設的で、患者さん中心のものになる。
- リハビリテーション科内のチームミーティングが活性化し、新しいアイデアや改善策が生まれやすくなる。
- 後輩指導や学生指導が、より効果的になる。
- 院内外のプロジェクトや委員会活動で、リーダーシップを発揮できるようになる。
- あなた自身のコミュニケーション能力や問題解決能力が向上する。
といった、多くのポジティブな変化が期待できます。 あなたがファシリテーターとして機能することで、チーム全体のパフォーマンスが向上し、ひいては提供する医療・リハビリテーションの質の向上に繋がるのです。 まさに、あなたが**チームの「起爆剤」**となり、ポジティブな連鎖を生み出すことができるのです。
会議が変わる!チームを動かす!ファシリテーションの基本スキル5選
「ファシリテーションって、なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんね。でも大丈夫!特別な才能は必要ありません。いくつかの基本的なスキルを意識し、練習することで、誰でもファシリテーターとしての能力を高めることができます。ここでは、チームを活性化させるために特に重要な5つの基本スキルをご紹介します。
スキル①:【場を作る力】安心・安全な雰囲気で、誰もが発言しやすい環境作り
どんなに素晴らしい意見を持っていても、「こんなこと言ったら笑われるかも…」「否定されたらどうしよう…」と感じるような雰囲気では、誰も安心して発言できません。 ファシリテーターの最初の重要な役割は、参加者全員が「何を言っても大丈夫だ」と感じられる、心理的に安全な「場」を作ることです。
- 笑顔と肯定的な態度: ファシリテーター自身が、明るく、オープンな態度で臨む。
- 参加者への配慮: 一人ひとりに目を配り、発言の少ない人にも声をかける。
- グランドルールの設定: 「人の意見を否定しない」「最後まで話を聞く」「時間は守る」など、会議を円滑に進めるための基本的なルールを、最初に全員で共有する。
- アイスブレイク: 会議の冒頭で、緊張をほぐすための簡単な自己紹介や雑談を取り入れる。
**「この場なら、安心して自分の考えを話せる」**と参加者が感じられることが、活発な議論を生み出すための土壌となります。
スキル②:【聴く力・引き出す力】参加者の意見やアイデアを効果的に引き出す質問術
ファシリテーターは、自分の意見を主張するのではなく、参加者の中から多様な意見やアイデアを引き出すことが求められます。そのためには、**相手の話を真摯に「聴く力(傾聴力)」**と、**効果的に「問いかける力(質問力)」**が不可欠です。
- 傾聴: 相槌やうなずき、アイコンタクトを使い、相手が話しやすいように促す。最後まで遮らずに聞く。
- オープンクエスチョン: 「はい/いいえ」で答えられない、自由な回答を促す質問(例:「〇〇について、皆さんはどう思われますか?」「他にどんなアイデアがありますか?」)。
- クローズドクエスチョン: 「はい/いいえ」で答えられる、具体的な確認や意思決定を促す質問(例:「この案で進めてよろしいですか?」)。
- 深掘りする質問: 「それは、具体的にどういうことですか?」「なぜ、そう思われるのですか?」と、意見の背景や根拠を明らかにする。
- 言い換え・要約: 参加者の発言を、分かりやすく言い換えたり、要約したりして、全員の理解を助ける。
これらのスキルを駆使して、**参加者一人ひとりの「声なき声」**にも耳を傾け、多様な視点を引き出すことが、質の高い結論に繋がります。

スキル③:【まとめる力・見える化する力】議論を整理し、論点を明確にする技術
活発な議論が行われると、たくさんの意見が出てきて、話があちこちに飛んでしまうこともありますよね。 そんな時、ファシリテーターには、**出てきた意見を整理し、論点を明確にし、議論の方向性を示す「まとめる力」**が求められます。
そのために有効なのが、意見を「見える化」する技術です。
- ホワイトボードや模造紙の活用: 発言されたキーワードや意見を、リアルタイムで書き出していく。
- 付箋(ポストイット)の活用: 各自に意見を付箋に書いてもらい、それをホワイトボードに貼り付けて分類・整理する。
- マインドマップや図解: 複雑な関係性や構造を、図やマップで視覚的に分かりやすく示す。
意見が見える化されることで、
- 全員が議論の全体像を把握しやすくなる。
- 論点が明確になり、話が脱線しにくくなる。
- 意見の重複や関連性が見えやすくなる。
- 新たなアイデアが生まれやすくなる。 といったメリットがあります。書記役とは異なる、議論を構造化する役割です。
スキル④:【合意形成を促す力】多様な意見を尊重し、チームの結論を導く
チームで何かを決定する際には、様々な意見が出て、時には対立することもあります。 ファシリテーターは、中立的な立場を保ちながら、**多様な意見を尊重し、全員が納得できる(あるいは、少なくとも受け入れられる)結論へと導く「合意形成」**をサポートする役割を担います。
- 意見の共通点・相違点を明確にする: 「〇〇さんの意見と△△さんの意見は、□□という点では共通していますが、××という点で異なっているようですね」
- それぞれの意見のメリット・デメリットを整理する: 客観的な視点から、各意見の良い点と懸念点を洗い出す。
- 対立を恐れず、建設的な議論を促す: 感情的な対立ではなく、論点に基づいた健全な意見交換を促す。
- 代替案や妥協点を探る: 全員が100%満足する結論でなくても、チームとして「これで進めよう」と合意できる着地点を見つける。
- 多数決に頼りすぎない: 安易な多数決ではなく、少数意見にも耳を傾け、できる限り多くの人が納得できるプロセスを重視する。
合意形成は、ファシリテーションの中でも特に難しいスキルの一つですが、チームの力を結集し、前に進むためには不可欠なプロセスです。
スキル⑤:【時間管理力】限られた時間で、効率的に議論を進める進行術
会議やミーティングの時間は有限です。 ダラダラと時間を浪費せず、限られた時間の中で、質の高い議論を行い、結論を出すためには、ファシリテーターの**「時間管理力」**が重要になります。
- アジェンダ(議題)と時間配分の事前共有: 会議の冒頭で、今日話し合う内容と、各議題にかけるおおよ目の時間を参加者全員に伝え、意識を共有する。
- 時間経過のアナウンス: 「〇〇の議題について、あと5分です」「予定時刻になりましたので、次の議題に移ります」など、適宜、時間の経過をアナウンスする。
- 議論の脱線防止: 話が本筋から逸れそうになったら、「その点も重要ですが、まずは〇〇について結論を出しましょう」と、軌道修正する。
- 時間内に結論が出ない場合の対応: 全ての議題で時間内に結論が出なくても、焦らず、「本日はここまでとし、残りは次回に持ち越しましょう」「〇〇さん、この点について次回までに検討しておいていただけますか?」など、次のアクションに繋げる。
時間を意識した進行は、会議の生産性を高め、参加者の集中力を維持するためにも大切です。
PTがファシリテーターとして輝く!具体的な実践テクニック
基本スキルを理解したら、次はそれを実際の会議やミーティングでどう活かすか、具体的なテクニックを学びましょう。理学療法士であるあなたが、チームの中でファシリテーターとして輝くための、すぐに使える実践的なコツをご紹介します。
テク①:【事前準備が鍵】会議の目的・ゴール・アジェンダを明確に共有する
良いファシリテーションは、会議が始まる前から始まっています。 最も重要な準備は、その会議の「目的(何のために集まるのか?)」と「ゴール(何が決まれば終わりなのか?)」、そして「アジェンダ(話し合うべき議題と順番)」を明確にし、事前に参加者全員に共有しておくことです。
- 目的・ゴールの設定: 「今回のカンファレンスでは、〇〇さんの退院後の生活課題を明確にし、具体的な支援プランを立案することをゴールとします」など。
- アジェンダの作成: 話し合うべき議題をリストアップし、それぞれの議題にかけるおおよその時間配分も記載しておくと良いでしょう。
- 事前資料の配布(必要な場合): 議論に必要な資料があれば、事前に配布し、目を通しておいてもらう。
これらを事前に行うことで、参加者は会議の趣旨を理解した上で臨むことができ、議論がスムーズに進みやすくなります。
テク②:【アイスブレイク活用】参加者の緊張をほぐし、発言しやすい雰囲気を作る
会議の冒頭は、どうしても参加者が緊張していたり、まだ頭が仕事モードに切り替わっていなかったりするものです。 そんな時は、**「アイスブレイク(氷を溶かす)」**と呼ばれる、緊張をほぐし、リラックスした雰囲気を作るための簡単なアクティビティを取り入れてみましょう。
- 簡単な自己紹介(一言近況報告など): 特に初めてのメンバーがいる場合や、久しぶりに集まる場合に有効。
- ちょっとした雑談: 天気の話、最近あった面白い話など、本題に入る前に軽い会話で場を温める。
- 簡単なゲームやクイズ: 参加者同士が打ち解けるきっかけになるような、短いゲーム。
時間は2~3分程度で十分です。**「話しやすいな」「楽しいな」**という雰囲気を作ることが、その後の活発な意見交換に繋がります。

テク③:【ホワイトボード・付箋活用】意見を「見える化」し、議論を活性化させる
議論の内容や、出てきた意見を、ホワイトボードや模造紙、あるいは付箋(ポストイット)などを使って「見える化」することは、ファシリテーションの非常に強力なテクニックです。
- ホワイトボード/模造紙:
- 議論のテーマやアジェンダを大きく書く。
- 発言されたキーワードや重要な意見を、リアルタイムで書き出していく。
- 意見を分類したり、関連付けたりして、図やマインドマップのように整理する。
- 付箋(ポストイット):
- 参加者一人ひとりに、アイデアや意見を付箋に書き出してもらう。(匿名性も保てる)
- 集まった付箋をホワイトボードに貼り付け、全員で見ながらグルーピングしたり、優先順位をつけたりする。
意見が**「目に見える」**形になることで、
- 全員が同じ情報を共有できる。
- 議論のポイントが明確になる。
- 多様な意見が出やすくなる。
- アイデアが整理され、新たな発想が生まれやすくなる。 といった効果があります。ぜひ活用してみてください。
テク④:【効果的な質問の型】オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン
参加者から意見や情報を引き出すための**「質問」**は、ファシリテーターの重要なスキルです。 質問には、大きく分けて2つのタイプがあります。
- オープンクエスチョン(開かれた質問):
- 「はい/いいえ」では答えられない、自由な回答を促す質問。
- **「Why(なぜ)」「What(何を)」「How(どのように)」「Could you tell me more about…?(もう少し詳しく教えていただけますか?)」**など。
- 効果: 多様な意見やアイデアを引き出す、議論を深める、相手の考えを引き出す。
- 例:「〇〇さんのリハビリ目標について、皆さんはどのようにお考えですか?」
- クローズドクエスチョン(閉ざされた質問):
- 「はい/いいえ」で答えられる、あるいは具体的な選択肢の中から選ぶ質問。
- **「Is it…?(~ですか?)」「Do you agree…?(~に同意しますか?)」「Which one…?(どちらですか?)」**など。
- 効果: 具体的な情報を確認する、意思決定を促す、議論を収束させる。
- 例:「〇〇さんの退院日は、△日でよろしいでしょうか?」
これらの質問を、議論のフェーズや目的に応じて、戦略的に使い分けることが、効果的なファシリテーションのポイントです。
テク⑤:【意見の対立への対処法】感情的にならず、建設的な議論へ導く
チームで議論をすれば、意見が対立したり、議論が白熱したりすることもあります。 そんな時、ファシリテーターは中立的な立場を保ち、感情的なぶつかり合いを避け、建設的な議論へと導く役割を担います。
- まずは両者の意見を丁寧に聞く: それぞれの意見の背景にある考えや想いを、しっかりと受け止める。
- 共通点と相違点を明確にする: 「〇〇という点では、お二人とも同じ意見のようですね。ただ、△△という点については、考えが異なるようですが、それでよろしいでしょうか?」
- 感情ではなく、論点に焦点を当てる: 「少し感情的になっているようなので、一旦落ち着いて、〇〇という論点について、それぞれのメリット・デメリットを整理してみませんか?」
- 第三者の意見を求める: 「他の方で、この点について何かご意見はありますか?」と、他の参加者にも発言を促す。
- 目的・ゴールに立ち返る: 「私たちの本来の目的は〇〇でしたよね。その目的を達成するためには、どちらの意見がより貢献できるでしょうか?」と、議論の原点に立ち返らせる。
対立は、必ずしも悪いことではありません。多様な意見がぶつかり合うことで、より良い結論が生まれることもあります。 ファシリテーターの腕の見せ所です。
テク⑥:【決定事項とToDoの確認】会議の成果を明確にし、次の行動へ繋げる
会議の最後に、**「今日、何が決まったのか」「次に、誰が、いつまでに、何をすべきか(ToDo)」**を、参加者全員で明確に確認することが非常に重要です。 これを怠ると、「良い話し合いだったけど、結局何も進まなかった…」ということになりかねません。
- 決定事項の要約・確認: 「本日の会議では、〇〇について、△△と決定しました。よろしいでしょうか?」と、口頭で確認し、可能であればホワイトボードなどに書き出す。
- ToDoリストの作成:
- 誰が (Who): 担当者を明確にする。
- 何を (What): 具体的なアクションアイテムを記述する。
- いつまでに (When): 期限を設定する。
- 次回の会議の予定(必要な場合): 次回の日程や議題などをアナウンスする。
会議の成果を明確にし、具体的な次の行動に繋げること。 これが、ファシリテーションの最後の、そして非常に重要な仕事です。
ファシリテーション能力を高めるための学習方法とトレーニング
「ファシリテーション、奥が深そうだけど、どうやって身につければいいの?」 ご安心ください。ファシリテーション能力は、特別な才能ではなく、学習とトレーニングによって誰でも向上させることができます。ここでは、あなたのファシリテーション能力を磨くための具体的な学習方法と、実践的なトレーニングのヒントをご紹介します。
学習法①:書籍やオンライン講座でファシリテーションの基礎を学ぶ
まずは、ファシリテーションに関する基本的な知識や理論を学ぶことから始めましょう。
- 書籍: ファシリテーションに関する入門書や専門書は、数多く出版されています。図解が多いものや、具体的な事例が豊富なものを選ぶと、理解しやすいでしょう。「ファシリテーション 入門」「会議術」などのキーワードで探してみてください。
- オンライン講座・動画コンテンツ: Udemy、Coursera、Schoo、YouTubeなど、ファシリテーションスキルを学べるオンライン講座や動画もたくさんあります。自分のペースで、好きな時間に学べるのがメリットです。
- ウェブサイト・ブログ: ファシリテーションに関する情報を発信している専門家や団体のウェブサイトやブログも、有益な情報源となります。
これらの教材を通じて、ファシリテーションの基本的な考え方、役割、スキル、ツールなどを体系的に学ぶことができます。
学習法②:研修やワークショップに参加し、実践的なスキルを体験する
書籍やオンライン講座で知識をインプットしたら、次は実際に体験しながら学ぶステップです。 ファシリテーションに関する研修やワークショップに積極的に参加してみましょう。
- ロールプレイング形式の研修: 実際にファシリテーター役や参加者役を体験し、フィードバックをもらうことで、実践的なスキルが身につきます。
- グループワーク中心のワークショップ: 他の参加者と協力しながら課題に取り組み、ファシリテーションのプロセスを体感できます。
- プロのファシリテーターから直接指導を受けられる機会: 疑問点を直接質問したり、具体的なアドバイスをもらえたりします。
座学だけでは得られない、「やってみる」ことによる気づきや学びは非常に大きいです。 日本ファシリテーション協会などが、様々な研修プログラムを提供しています。
学習法③:上手なファシリテーターの会議を観察し、良い点を盗む
あなたの周りに、「この人の会議は、いつもスムーズに進むな」「この人がいると、議論が活性化するな」と感じるような、上手なファシリテーターはいませんか? もしいたら、その人の会議の進め方や、参加者への関わり方を、じっくりと観察してみましょう。
- どのように会議を始めているか?(アイスブレイク、目的共有など)
- どのように意見を引き出しているか?(質問の仕方、聴き方など)
- どのように議論を整理し、まとめているか?(板書の使い方、要約の仕方など)
- どのように時間管理をしているか?
- 参加者が安心して発言できるような、どんな雰囲気作りをしているか?
**「良いところを盗む」**という意識で観察することで、たくさんの学びが得られるはずです。 そして、盗んだテクニックを、自分の実践に取り入れてみましょう。
トレーニング①:まずは小さな会議や勉強会で実践してみる
知識を学び、上手な人を観察したら、いよいよあなた自身がファシリテーターとして実践してみる番です。 最初から大きな会議や、重要な意思決定の場でファシリテーターを務めるのはハードルが高いかもしれません。
まずは、職場の比較的小さな会議や、チーム内の勉強会、あるいは友人同士の集まりなどで、**「ちょっとファシリテーター役、やってみてもいいですか?」**と、勇気を出して手を挙げてみましょう。
失敗を恐れずに、学んだことを試してみる。 この**「小さな実践」の積み重ね**が、あなたのファシリテーション能力を確実に向上させていきます。
トレーニング②:フィードバックをもらい、改善点を見つけて次に活かす
実践したら、必ず**「振り返り」**を行いましょう。 そして、可能であれば、参加者からフィードバックをもらうことが、さらなる成長のためには非常に重要です。
- 「今日の会議、進行はどうでしたか?」
- 「分かりにくい点や、もっとこうしてほしかった、という点はありますか?」
- 「良かった点、改善すべき点はどこだと思いますか?」
建設的な批判は、成長の糧となります。 もらったフィードバックを真摯に受け止め、「次はこうしてみよう」と、改善点を見つけて次に活かしていく。 この「実践→振り返り→改善」のサイクルを繰り返すことで、あなたのファシリテーションスキルは、着実に磨かれていくはずです。
ファシリテーションは最強のチームスキル!PTがチーム医療の未来を動かす!
理学療法士が学ぶべき「ファシリテーション能力」。 それは、単なる会議の進行術ではなく、**チームの潜在能力を最大限に引き出し、より質の高い成果を生み出すための、まさに「最強のチームスキル」**と言えるでしょう。
あなたがファシリテーターとして、
- 誰もが安心して発言できる「場」を作り、
- 多様な意見を効果的に「引き出し」、
- 議論を分かりやすく「見える化」し、
- チームの「合意形成」を促し、
- 限られた時間で「成果」へと導く。 その役割を果たすことができれば、あなたの所属するチームは、間違いなく活性化し、より創造的で、より生産的な集団へと進化していくはずです。
そして、それは患者さんへの医療・リハビリテーションの質の向上に直結し、ひいては理学療法士という専門職の社会的価値を高めることにも繋がります。
ファシリテーション能力は、一朝一夕に身につくものではありません。 しかし、基本的なスキルを学び、日々の小さな実践を積み重ね、そして常に改善を意識することで、誰でも確実に向上させることができます。
もし、あなたが**「今のチームを、もっと良くしたい」「多職種連携を、もっと円滑に進めたい」**と強く願うなら、ぜひファシリテーションの世界に足を踏み入れてみてください。 キャリアアドバイザーに相談すれば、ファシリテーションスキルが活かせる職場や、リーダーシップを発揮できるようなキャリアパスについて、新たな視点が得られるかもしれません。